腰痛症とは
腰が痛くなる病気
腰が痛くなる腰痛症という病気。腰痛症はある特例の症状を指すわけではなく、腰痛を引き起こすさまざまな疾患の総称です。
腰痛は、さまざまな理由によって起こります。特に多いのは、腰の骨に負担がかかることで神経を圧迫し痛みが起こるケースですが、感染や炎症、腫瘍、がん、ストレスによって腰痛が発症することも少なくありません。
また、原因となる疾患によって、腰の痛み方もさまざまです。腰を曲げると痛い、疲れたときだけ腰が痛む、腰からふくらはぎにかけてしびれる、突然刺すような痛みが出て動けなくなる、発熱を伴って動けなくなるなど、患者さんによって違います。
腰痛を治すために大切なのは、まずは原因を探ることです。そして、それに合った適切な治療を行うことです。
あなたの腰の痛み方は、どんな症状でしょうか? それによって治療法も変わってきます。腰痛について知識を深め、一緒に治し方を考えていきましょう。
腰痛の原因
腰痛の原因には、さまざまなものがあります。
一般的に多く見られるのは、腰椎椎間板ヘルニア、骨粗鬆症、坐骨神経痛という3つの疾患です。
腰椎椎間板ヘルニア
腰椎椎間板ヘルニアは、腰痛の原因の中でも最も重症度が高いと言われている病気です。
背骨には、骨と骨の間でクッションの役割をしている椎間板(ついかんばん)という軟骨があります。
この椎間板の一部が外に飛び出して、周囲の神経を圧迫し、痛みやしびれを引き起こす病気が、椎間板ヘルニアです。
この症状が腰椎(ようつい:腰の骨)で起こると「腰椎椎間板ヘルニア」と呼ばれ、多くの方々の腰痛の原因になっています。
椎間板ヘルニアは、ヘルニアの程度によって様々な症状があります。腰や足が痛くても、楽な姿勢で横になって休んでいれば1〜2週間で痛みが軽くなることもあります。
しかし、重症になると排尿障害、長期化すると大腿や下腿の筋萎縮(足の筋肉が痩せてしまう病気)を引き起こすことがあります。腰痛はいろいろな病気で起こるので、腰痛だけでは腰椎椎間板ヘルニアとはいえません。ただし、足に痺れがあるときは要注意です。
飛び出した椎間板は、多くの場合、片側の神経を圧迫する程度の大きさですので、しびれは片足に起こります。腰が痛くなり、片足だけにしびれを感じたら、腰椎椎間板ヘルニアの可能性があります。
骨粗鬆症
骨の密度が低下し、骨の量が少なくなる病気です。骨粗鬆症によって骨がもろくなると、つまずいて手や肘をついた、しりもちをついた、鉢を持って移動させた、くしゃみをした…などのわずかな衝撃でも骨折してしまうことが少なくありません。
骨粗鬆症は、閉経期以降の女性に多く見られる病気ですが、若い人でも栄養不足や運動不足、ステロイド剤などの影響で発症することがあります。私たちが生きている間、骨は形成と破壊を繰り返しています。このバランスが崩れることによって、骨粗鬆症は起こるのです。
症状が進み、骨の密度が低下すると、いつの間にか骨が潰れていたり、身長が縮んでいたり、猫背になったり、少しふらついただけでも脚の付け根の骨が折れたりして、腰痛や骨折などの症状を引き起こし、生活に支障をきたします。
また、こうしたけがで入院をしたり、寝たきりになるなど、生活リズムが崩れてしまうと、高齢の方は一気に認知症・痴呆が進んでしまいます。日本では総人口の約10%の人が、骨粗鬆症を発症していると言われています。
坐骨神経痛
坐骨神経(ざこつしんけい)は、腰から足の先までつながっている、人体のなかでも最も太くて長い、何本もの神経が集まった、神経の束のようなものです。この坐骨神経が圧迫されると、その周辺にある知覚領域(痛みを感じるエリア)が刺激され、腰や足などに電気が走ったような痛みや、ピリピリしたしびれ、麻痺などを引き起こします。
坐骨神経痛は、腰椎椎間板ヘルニアによって起こることが多い症状ですが、中高年になると腰部脊柱管狭窄症(ようぶ せきちゅうかん きょうさくしょう)という病気で発症するケースが多くなります。
脊柱管(せきちゅうかん)とは、背骨の中にある通り道のようなものです。背骨を支える筋肉(靭帯)の組織は、加齢によって老化し、骨は変形していきます。その結果、脊柱管内が圧迫され、神経を刺激し、腰や足などに痛みやしびれを引き起こすのです。
坐骨神経痛は、軽度のうちなら、日常の姿勢や動作を見直して、ストレッチなどを習慣化することで、自分でも予防したり、改善したりすることができます。ただし、強い痛みやしびれを感じたり、腰が曲がらない、歩くのがつらい…といった症状があった場合は、重症になっている可能性が高いです。
腰痛の診断と治療
腰痛症は「腰」だけが悪いわけではありません
人は立位歩行(立って歩く)している以上は、腰、骨盤、膝、足関節、すべてに負担がかかってしまいます。約3kgもの重量がある頭を1日10時間以上もずっと支えているのです。
腰痛の方は、「腰が悪い」と勘違いしがちですが、厳密にはそうではありません。姿勢そのものの変化が、関節への負担を高め、「筋緊張」と呼ばれる筋肉の収縮を引き起こしたり、「不均等」と呼ばれる筋肉が偏った使われ方をする状態を招いたりして、腰に痛みやしびれを引き起こすケースが多いのです。
腰痛は、ほとんどの場合、日常の何気ない姿勢や動作によって引き起こされます。腰に負担をかける行動を避けることによって、椎間板ヘルニアなどの発症を防ぐことができます。ストレッチをしたり、筋力を強化したり、体重の増加を避けることも大切です。
当院の考え方
当院では、腰痛だから腰痛だけを施術するということはしません。腰痛が出てきた経緯を詳しくお聞きします。そして腰以外、膝、脚関節、足の裏をチェックします。
症状を抱えた方は、ご来院されてきたときの様子(姿勢や歩き方)でおおよその状態が分かります。腰の単独の問題なのか、かばっているための二次的な痛みなのか、腰痛を起こす本当の原因はどこなのか考えます。
説明はわかりやすく丁寧に
患者さんにお体の状態を説明し、一緒に施術の計画を立てていきます。ご納得いただければ、治療を開始します。
わかりづらいことがあれば、何度でも丁寧にわかるように説明します。このように施術を勧めますので、初診時はなるべく時間に余裕を持ってご来院していただいております。
治療の進め方
当院では、できる限り手間をかけて、患者さん個人に合った施術をしています。腰痛は、人によって原因も痛み方もさまざまです。短期間で成果が上がる方もいれば、そうでない方もいます。だからこそ、一人ひとりと向き合った施術が重要です。
腰痛症は、軽度の症状なら、しばらく安静にして、予防策を心掛けていれば、痛みが治まることも少なくありません。しかし、痛みが続くときに放置しておくと、重篤な障害をもたらすことがあります。腰痛が続くときは、できるだけ早く当院へご相談ください。
医療提携
症状によっては、血管外科、婦人科、整形外科など、他科にまたがって、その原因の治療をすることも必要になります。クリニックのレベルを超えて高度な治療が必要な方には、地域連携がしっかり整っている病院施設への紹介が必要になる場合もあります。医療機関での充分な治療が完了しましたら、その後のアフターケアは、当院におまかせください。